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武蔵坂学園高校三年生 イフリートを屠る者 近衛朱海の辿る標。

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2013/09/11 (Wed)
近衛朱海と蒼炎の修羅
炎を境に、よく似たものを斬ってみれば…中から出たのは修羅だった
何を終わりと定めることも無く、無間の獄を究めんとする蒼炎の修羅。
恐怖を感じると同時に哀れに思いながらも、彼女は自覚していた。
この恐怖と哀れみは、鏡に向けたものだと。蒼の瞳を蒼の瞳に写して思った。




(台詞の一部無断での使用があります、ごめんなさい。お手紙いただければ修正します)




ああ、私たちはどうしようもないモノなのだ。
外れることのできない一本道を脇目も振らずひた走る。
その背にその傍らにいる伴も、果ては自分さえも焼き尽くしてでも前に進む。
その様を鏡のように見せられて…

否、本当は始めからわかっていたのだ。
己の道に終着など無いのだと。復讐など空しいのだと。
誰も願いも望みもしないのだと。
そして、それを判っている癖に…奈落への行進を続けるのだ。


独りきりならば、そうだったのだろう。

―おいてったらそれこそ地獄だろうがなんだろうが引き摺ってでも連れ帰るからなっ!
私をつかんで叫ぶ者がいる。

―君の周りにいた誰かが、君だけは…君だけでも、と思って君を犠牲から守ったのではないのですか?
後から、声が聞こえる。鏡の向こうを諭す声が。

―背負いますよ!呑まれているわけではない!俺は、自分の意志で―
ああ、鏡の向こうの修羅が。近衛の朱海が喋っている。
でも…私は…私は問いかける。意思の源に問いかける。

『大事な肉親を、命を賭して守ろうとした意思は?死人に曳かれることを死人が望むの…?』
それはずっと、目を背けてきた問い。鏡から目を背けて、考える。
それを考えることは冒涜だと思った、自らの否定だと思った。
でも、答えは既に出ていて、知っているから、怖いから目を背けていただけだった。
御影石に心はあるのか、灰に意思はあるのか。

―死人は語らず、望まない

冷厳な真実、底なしの大穴のような。
それを認めたくないから、私は灰のせいにして大穴を埋め立てるべく進んでいく。
迷わぬ足取りを強さだと、私すら欺いて。

違う、私は弱い。

―…自由になりたきゃ断ち斬るなり何なりすりゃいいだろ?
…やすやすと断ち切れるほどに強くないから、こんな有様なのよ
枷が無ければ自分を立たせることもできぬ不具

―朱海はもう選んでいるんじゃないのか?
選んでるんじゃない、他を見ようとしなかっただけ
道程にある奈落からも他の道からも目を背ける盲人


でも…枷に引きずられるままの私を引き戻してくれるものがいるなら。
盲人の如く進む私に付き添い、声をかけるものがいるなら。





「…強く、なる」
近衛朱海は庵に一人。虚空を手繰るようにつかんで呟く。
四肢の枷と鎖に引き千切られそうになっても…曳く灰に抗う。
そう、決めた。


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